Proposal for Asahi Shokai

「数字のズレ」を、人ではなく機械で見つける
― 販売管理・経理・棚卸の三者突合AIワークフロー ―

廣瀬様より頂戴したご質問「営業側売上と仕入側集計の差異検出」について、お預かりした業務機能一覧表(中小企業/大企業/オフィスづくり/サービス/マーケティング・5冊/約7,000セル)を読み込んだ上で、貴社の実情を踏まえた具体的な提案をまとめました。

For 株式会社アサヒ商会 代表取締役 廣瀬 一成 様
From 株式会社ピースフラットシステム 代表取締役 片川 良平
Issued 2026年6月4日
頂戴したご質問(要旨)
営業側で認識している売上と、仕入側で集計したものの「数字のズレ」を機械で検出したい。具体的には 販売管理ソフトの売上&原価 と、経理ソフトの売上&仕入請求書&棚卸高 が一致しているかの突合作業。仕入請求書はデータでは来ないため、紙もしくはPDFを読ませて 販売管理ソフトの原価との突合を図りたい。消耗品の仕入価格入力ミス/棚卸計上漏れ/売上漏れ等を想定。
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我々の理解 ― アサヒ商会様の業務構造(学習ノート)
業務機能一覧表+廣瀬様確認事項
1-1. 対象事業の整理(廣瀬様確認済)

貴社は売上計上の主体として3つの事業組織を持たれており、今回のスコープは法人事業(アサヒ商会BS)に絞ります。店舗事業(ハイノート)とリユース事業(オフィスボックス)は販売管理ソフトと業務性質が大きく異なるため、本提案の対象外とします。

▼ 本提案の対象 ▼
法人事業
アサヒ商会BS
クレド使用部門
スコープ外
店舗事業
ハイノート
メトロ運用(POS・在庫)
スコープ外
リユース事業
オフィスボックス
FileMaker運用
1-2. 貴社で使われているシステム(法人事業ベース)
領域使用ソフト役割・一覧表での記述
販売管理 中核クレド(CLED)
法人事業のみ使用
「クレド売上入力」「クレドの仕入単価」「仕切価格とクレドの仕入単価が一致していることを確認」「明細:社内備考欄」
= 売上・原価・仕入単価・明細のマスターデータ(法人事業)
経理・会計 中核TKC
廣瀬様確認:弥生→TKCに変更済
仕訳・試算表・棚卸高の最終集計地点。
⚠ 重要:TKCには「仕入の一括数値」しか持たない。よって突合のためには各仕入先からの個別の請求書PDFが必須になります。
SFA・案件管理 kintone 「kintoneへ売上予定日を記録」「活動記録(kintone)」
= 案件状況・売上予定日のトラッキング(突合の補助情報)
月次売上表 Excel/スプシ(手動) 「クレドに入っている月末の売上を加茂専務が吸い上げて、月次売上表を作成」(廣瀬様確認済)
= 人手による集計の典型例。将来の自動化候補。
店舗POS・在庫 メトロ
スコープ外
店舗事業(ハイノート)の運用。今回の課題対象外。
中古品在庫 FileMaker
スコープ外
リユース事業(オフィスボックス)の運用。今回の課題対象外。
今回の突合の主役は「クレド ⇔ TKC+仕入請求書PDF」。クレド(営業の手元台帳)と、TKC+各社の請求書PDF(経理の手元台帳)を突き合わせるのが本丸になります。
1-3. ここが超重要:「2冊の台帳」の話(理解の核心)

アサヒ商会様のお金の動きは、ものすごく単純化すると「2冊の台帳」が並走していると理解できます。この2冊が一致していれば健全、ズレていれば数字が信用できない。今回の課題はこの一点に尽きます。

台帳①|営業の手元
クレド
「誰に・何を・いくらで売って、原価はいくらだったか」を案件ごとに営業が入力する台帳。
= 営業マンが見ている世界
台帳②|経理の手元
TKC + 仕入請求書(紙/PDF)
「実際に取引先からこれだけの請求書が来た」を経理が処理する台帳。
= 経理マンが見ている世界
片川覚えるポイント:なぜこの2つがズレるのか
1-4. お金とデータの流れ(法人事業 / 売上と原価のみ)

図の左側=営業の世界(クレド)、右側=経理の世界(TKC+請求書)、真ん中=その間で何が起きるか、です。

営業側
クレド(売上入力)
売上の流れ:営業がクレドに売上入力 → 月末に加茂専務が手動で吸い上げ → 月次売上表(Excel)→ TKCに仕訳として入る
経理側
TKC(売上仕訳)
営業側
クレド(仕入単価)
原価の流れ ★本丸:仕入先から見積書(仕切価格)→ 営業がクレドに仕入単価を入力 → 後日 仕入先から請求書(紙/PDF)が経理へ届く → TKCに合計だけ計上
経理側
仕入請求書(紙/PDF)+ TKC
★ここがズレの発生源(廣瀬様が一番気にしているところ)
一覧表に既に「仕切価格とクレドの仕入単価が一致していることを確認」と書かれています。つまり「目視で確認してね」というルールがすでに存在している = それでも漏れる前提。担当者が見落とした分は、後日 経理に請求書が届いて初めて「あれ、合わない」と気づくが、その頃には案件は売上計上済みで、修正は煩雑。これが日々積み上がっている状態です。
1-5. ズレが構造的に生まれる4つの理由(覚えておくと営業会話で使える)
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クライアントへの提案 ― 数字のズレ検出AIワークフロー
本丸の設計図
2-1. ズレが起きる4経路の整理(突合パターン)

廣瀬様のご質問を、突合可能なデータ対の単位に分解しました。本丸は「経路B:仕入請求書(PDF)× クレド原価明細」で確定です。経路A(マクロ突合)はBの補助として並走。経路C(棚卸)・経路D(入金消込)は廣瀬様確認の上、今回スコープ外とします。

A 補助・マクロ突合
クレド月次原価 vs TKC月次仕入合計
月次の総額レベルで「営業側の計上原価合計」と「経理側のTKC仕入合計」のズレを月初に把握。Bの結果を裏付けるサマリ指標として並走。差額が閾値を超えたら経営アラート。
検出できるもの:月跨ぎの計上漏れ/請求書未処理/二重計上の総量
B 本丸・明細突合
仕入請求書(PDF)× クレド仕入明細
紙・PDFの仕入請求書をAI-OCRで明細化し、「取引先×商品×単価×数量×日付」でクレド原価と1行ずつ突合。廣瀬様確認済の本丸。TKCには合計しか入っていないため、ここは「請求書PDF × クレド」の直接突合で組みます。
検出できるもの:仕入単価入力ミス/請求書あり明細なし/明細あり請求書なし/消費税計算ズレ
スコープ外|C 在庫突合
クレド在庫想定 × 棚卸データ
廣瀬様確認:棚卸は紙媒体・Excelベースで、店舗事業・リユース事業でしか運用していないため、今回の課題対象外。法人事業(クレド)には在庫概念が薄く、突合の必要性が低い。
判断理由:対象事業外(店舗・リユース)/棚卸の電子化が前提条件
スコープ外|D 入金消込
クレド請求 vs TKC入金記録
廣瀬様確認:現状運用で課題なし。クレド側で消込が回っており、ズレ・滞留も発生していない。将来的に必要が生じれば追加検討。
判断理由:業務側からの困りごとが現時点ではない
2-2. 「経路B:本丸」のAIワークフロー設計
仕入請求書PDF × クレド原価明細 自動突合パイプライン
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請求書投入
紙はスキャナ/PDFはメール受信フォルダから自動取込
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AI-OCR明細化
Claude Vision/GPT-4o で構造化(取引先・商品・単価・数量・税)
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クレド明細取得
該当月の原価明細をCSV/API経由で抽出
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突合エンジン
取引先×期間×商品名類似度でマッチング、ズレを重大度判定
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アラート&レポート
高重大度はSlack即時通知/中以下は月末まとめ
仕入請求書OCRの精度について:商品名表記が請求書とクレドで微妙に違うのが普通です(例:「Canon BC-310 BK」 vs 「BC-310黒インク」)。これはAIの類似度マッチングで吸収します。マッチング辞書は最初に過去6ヶ月の実績から自動生成し、運用しながら学習させます。精度100%は目指さず、90%自動・10%人が確認の前提で設計します。
2-3. 想定される検出シナリオ(廣瀬様の仮説に即して)
1
消耗品の仕入単価入力ミス(廣瀬様のご指摘①) 高重大度
クレドに「BC-310 BK / 2,400円 / 10個」と入力されているが、請求書原本では「2,800円 / 10個」。
差額 4,000円。明細単位で AI が即検出 → Slack で「該当案件番号+差額+証憑PDFリンク」をプッシュ通知。
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売上漏れ/仕入漏れ(廣瀬様のご指摘③) 高重大度
仕入請求書はあるが、対応する売上明細がクレドに見当たらない。または、クレドに売上はあるが、想定される仕入計上がない。
「仕入だけ計上された案件」「売上だけ計上された案件」を月次で抽出 → 案件担当者にSlack通知+クレドリンク。
※棚卸計上漏れ(廣瀬様のご指摘②)は、棚卸が紙・Excelベースのため、今回はこの「売上/仕入の片側だけ計上」検出で代替的にカバー。
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取引先 月次サマリの差額アラート(経路A) 中重大度
取引先「キヤノンマーケティングジャパン」について、クレドの6月計上原価合計 4,820,000円、TKCの仕入仕訳合計 4,956,000円
差額136,000円。月次クローズ前に総務経理+担当営業へ通知、明細(経路B)と突合して原因特定。
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消費税計算の不整合 低重大度(ただし件数多)
軽減税率8%と標準税率10%の混在誤り、内税・外税表記の取り違え等を請求書OCR時に自動検出。
件数が多いため、月次まとめレポートとして総務経理に提示。
2-4. 進め方ロードマップ
STEP 1|2〜4週
経路B(本丸)のPoC:仕入請求書PDF × クレド原価明細
直近3ヶ月分の仕入請求書(PDF/紙スキャン)を5〜10社分お預かりし、クレドの該当原価明細と突合するPoCを構築。「どのくらいズレが見つかるか」を実数値で可視化します。これが廣瀬様のご質問への直接の答えになります。
STEP 2|1〜2ヶ月
本格運用へ:マッチング辞書整備+Slack通知+月次レポート
PoCで効果が見えた前提で、過去6ヶ月分の実績からマッチング辞書を自動生成。Slack通知・月次レポート・ダッシュボードを実装し、総務経理が日常運用に組み込める形に。
STEP 3|並走
経路A(マクロ突合)の追加と、HD化対応の素地づくり
本丸の安定運用と並行して、月次マクロ突合(A)を追加し、Bを裏付けるサマリ指標として整備。HD化に伴う事業会社間突合の素地もここで作っておきます。
STEP 4|将来
月次売上表の半自動化(加茂専務の集計工程の代替)
「加茂専務が吸い上げて作成」している月次売上表を、クレド〜TKCのデータから AI が自動生成。加茂専務は「確認・経営判断」に時間を割けるように。
2-5. PoC着手にあたって、確認させてください
セキュリティ前提:仕入請求書には取引先名・金額・口座情報等が含まれます。AI処理は Anthropic/OpenAI のエンタープライズ契約下で「学習に使われない」構成で実装します。社内サーバ+オンプレOCR構成も選択肢に入れて、PoC段階でご相談しながら決めます。
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