Proposal for Asahi Shokai
「数字のズレ」を、人ではなく機械で見つける
― 販売管理・経理・棚卸の三者突合AIワークフロー ―
廣瀬様より頂戴したご質問「営業側売上と仕入側集計の差異検出」について、お預かりした業務機能一覧表(中小企業/大企業/オフィスづくり/サービス/マーケティング・5冊/約7,000セル)を読み込んだ上で、貴社の実情を踏まえた具体的な提案をまとめました。
頂戴したご質問(要旨)
営業側で認識している売上と、仕入側で集計したものの「数字のズレ」を機械で検出したい。具体的には 販売管理ソフトの売上&原価 と、経理ソフトの売上&仕入請求書&棚卸高 が一致しているかの突合作業。仕入請求書はデータでは来ないため、紙もしくはPDFを読ませて 販売管理ソフトの原価との突合を図りたい。消耗品の仕入価格入力ミス/棚卸計上漏れ/売上漏れ等を想定。
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我々の理解 ― アサヒ商会様の業務構造(学習ノート)
業務機能一覧表+廣瀬様確認事項
貴社は売上計上の主体として3つの事業組織を持たれており、今回のスコープは法人事業(アサヒ商会BS)に絞ります。店舗事業(ハイノート)とリユース事業(オフィスボックス)は販売管理ソフトと業務性質が大きく異なるため、本提案の対象外とします。
▼ 本提案の対象 ▼
法人事業
アサヒ商会BS
クレド使用部門
スコープ外
店舗事業
ハイノート
メトロ運用(POS・在庫)
スコープ外
リユース事業
オフィスボックス
FileMaker運用
1-2. 貴社で使われているシステム(法人事業ベース)
| 領域 | 使用ソフト | 役割・一覧表での記述 |
| 販売管理 |
中核クレド(CLED) 法人事業のみ使用 |
「クレド売上入力」「クレドの仕入単価」「仕切価格とクレドの仕入単価が一致していることを確認」「明細:社内備考欄」 = 売上・原価・仕入単価・明細のマスターデータ(法人事業) |
| 経理・会計 |
中核TKC 廣瀬様確認:弥生→TKCに変更済 |
仕訳・試算表・棚卸高の最終集計地点。 ⚠ 重要:TKCには「仕入の一括数値」しか持たない。よって突合のためには各仕入先からの個別の請求書PDFが必須になります。 |
| SFA・案件管理 |
kintone |
「kintoneへ売上予定日を記録」「活動記録(kintone)」 = 案件状況・売上予定日のトラッキング(突合の補助情報) |
| 月次売上表 |
Excel/スプシ(手動) |
「クレドに入っている月末の売上を加茂専務が吸い上げて、月次売上表を作成」(廣瀬様確認済) = 人手による集計の典型例。将来の自動化候補。 |
| 店舗POS・在庫 |
メトロ スコープ外 |
店舗事業(ハイノート)の運用。今回の課題対象外。 |
| 中古品在庫 |
FileMaker スコープ外 |
リユース事業(オフィスボックス)の運用。今回の課題対象外。 |
今回の突合の主役は「クレド ⇔ TKC+仕入請求書PDF」。クレド(営業の手元台帳)と、TKC+各社の請求書PDF(経理の手元台帳)を突き合わせるのが本丸になります。
1-3. ここが超重要:「2冊の台帳」の話(理解の核心)
アサヒ商会様のお金の動きは、ものすごく単純化すると「2冊の台帳」が並走していると理解できます。この2冊が一致していれば健全、ズレていれば数字が信用できない。今回の課題はこの一点に尽きます。
台帳①|営業の手元
クレド
「誰に・何を・いくらで売って、原価はいくらだったか」を案件ごとに営業が入力する台帳。
= 営業マンが見ている世界
台帳②|経理の手元
TKC + 仕入請求書(紙/PDF)
「実際に取引先からこれだけの請求書が来た」を経理が処理する台帳。
= 経理マンが見ている世界
片川覚えるポイント:なぜこの2つがズレるのか
- 入力するタイミングが違う。営業はクレドに「売る前」または「売った直後」に仕入単価を入れる。経理はあとから来る請求書を見て初めて実額を知る。時間差があるから一致しないことがある。
- 入力する人が違う。営業は人によって入力の丁寧さが違う。経理は機械的に処理する。営業の入力ミスが残り続ける。
- 商品名の表記が違う。クレドでは「BC-310黒」、請求書では「Canon BC-310 BK」。人間が見れば同じだとわかるが、機械的に突合するのが難しい。
- TKCには「合計しか」入っていない。「6月の仕入総額300万円」とは出るが、「BC-310を何個いくらで」までは入っていない。だから明細レベルで突合するなら、TKCではなく「各社の請求書PDF」を見るしかない。← これが今回の最重要ポイント
1-4. お金とデータの流れ(法人事業 / 売上と原価のみ)
図の左側=営業の世界(クレド)、右側=経理の世界(TKC+請求書)、真ん中=その間で何が起きるか、です。
売上の流れ:営業がクレドに売上入力 → 月末に加茂専務が手動で吸い上げ → 月次売上表(Excel)→ TKCに仕訳として入る
原価の流れ ★本丸:仕入先から見積書(仕切価格)→ 営業がクレドに仕入単価を入力 → 後日 仕入先から請求書(紙/PDF)が経理へ届く → TKCに合計だけ計上
★ここがズレの発生源(廣瀬様が一番気にしているところ)
一覧表に既に「
仕切価格とクレドの仕入単価が一致していることを確認」と書かれています。
つまり「目視で確認してね」というルールがすでに存在している = それでも漏れる前提。担当者が見落とした分は、後日 経理に請求書が届いて初めて「あれ、合わない」と気づくが、その頃には
案件は売上計上済みで、修正は煩雑。これが日々積み上がっている状態です。
1-5. ズレが構造的に生まれる4つの理由(覚えておくと営業会話で使える)
- ① 営業の入力ミスは「目視チェック」しかない。一覧表に「
仕切価格とクレドの仕入単価が一致していることを確認」とある通り、人が毎案件チェックする運用。規模が大きくなれば必ず漏れる。
- ② 仕入請求書はデータで来ない。「アサヒ商会が支払う請求書」「EDIは検品免除」とあり、EDI(一部・自動)と紙/PDF(大半・手作業)の二経路。紙/PDFを機械が読める形に変換する手段がなければ突合は永遠に手作業。
- ③ 月次売上は加茂専務の手仕事に依存。「クレドに入っている月末の売上を加茂専務が吸い上げて月次売上表を作成」。属人化していて、専務がいない月は止まる。
- ④ HD化を視野に。一覧表に「
HD化に伴い、請求書と売上、経費を各事業会社に任せる可能性あり」とあり、ホールディング化が進行中。事業会社分割後はさらに「会社間の数字のズレ」が増える。今のうちに仕組みを作っておく価値が大きい。
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クライアントへの提案 ― 数字のズレ検出AIワークフロー
本丸の設計図
2-1. ズレが起きる4経路の整理(突合パターン)
廣瀬様のご質問を、突合可能なデータ対の単位に分解しました。本丸は「経路B:仕入請求書(PDF)× クレド原価明細」で確定です。経路A(マクロ突合)はBの補助として並走。経路C(棚卸)・経路D(入金消込)は廣瀬様確認の上、今回スコープ外とします。
A 補助・マクロ突合
クレド月次原価 vs TKC月次仕入合計
月次の総額レベルで「営業側の計上原価合計」と「経理側のTKC仕入合計」のズレを月初に把握。Bの結果を裏付けるサマリ指標として並走。差額が閾値を超えたら経営アラート。
検出できるもの:月跨ぎの計上漏れ/請求書未処理/二重計上の総量
B 本丸・明細突合
仕入請求書(PDF)× クレド仕入明細
紙・PDFの仕入請求書をAI-OCRで明細化し、「取引先×商品×単価×数量×日付」でクレド原価と1行ずつ突合。廣瀬様確認済の本丸。TKCには合計しか入っていないため、ここは「請求書PDF × クレド」の直接突合で組みます。
検出できるもの:仕入単価入力ミス/請求書あり明細なし/明細あり請求書なし/消費税計算ズレ
スコープ外|C 在庫突合
クレド在庫想定 × 棚卸データ
廣瀬様確認:棚卸は紙媒体・Excelベースで、店舗事業・リユース事業でしか運用していないため、今回の課題対象外。法人事業(クレド)には在庫概念が薄く、突合の必要性が低い。
判断理由:対象事業外(店舗・リユース)/棚卸の電子化が前提条件
スコープ外|D 入金消込
クレド請求 vs TKC入金記録
廣瀬様確認:現状運用で課題なし。クレド側で消込が回っており、ズレ・滞留も発生していない。将来的に必要が生じれば追加検討。
判断理由:業務側からの困りごとが現時点ではない
仕入請求書PDF × クレド原価明細 自動突合パイプライン
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請求書投入
紙はスキャナ/PDFはメール受信フォルダから自動取込
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AI-OCR明細化
Claude Vision/GPT-4o で構造化(取引先・商品・単価・数量・税)
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クレド明細取得
該当月の原価明細をCSV/API経由で抽出
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突合エンジン
取引先×期間×商品名類似度でマッチング、ズレを重大度判定
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アラート&レポート
高重大度はSlack即時通知/中以下は月末まとめ
仕入請求書OCRの精度について:商品名表記が請求書とクレドで微妙に違うのが普通です(例:「Canon BC-310 BK」 vs 「BC-310黒インク」)。これはAIの類似度マッチングで吸収します。マッチング辞書は最初に過去6ヶ月の実績から自動生成し、運用しながら学習させます。精度100%は目指さず、90%自動・10%人が確認の前提で設計します。
2-3. 想定される検出シナリオ(廣瀬様の仮説に即して)
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消耗品の仕入単価入力ミス(廣瀬様のご指摘①)
高重大度
クレドに「BC-310 BK / 2,400円 / 10個」と入力されているが、請求書原本では「2,800円 / 10個」。
差額 4,000円。明細単位で AI が即検出 → Slack で「該当案件番号+差額+証憑PDFリンク」をプッシュ通知。
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売上漏れ/仕入漏れ(廣瀬様のご指摘③)
高重大度
仕入請求書はあるが、対応する売上明細がクレドに見当たらない。または、クレドに売上はあるが、想定される仕入計上がない。
「仕入だけ計上された案件」「売上だけ計上された案件」を月次で抽出 → 案件担当者にSlack通知+クレドリンク。
※棚卸計上漏れ(廣瀬様のご指摘②)は、棚卸が紙・Excelベースのため、今回はこの「売上/仕入の片側だけ計上」検出で代替的にカバー。
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取引先 月次サマリの差額アラート(経路A)
中重大度
取引先「キヤノンマーケティングジャパン」について、クレドの6月計上原価合計 4,820,000円、TKCの仕入仕訳合計 4,956,000円。
差額136,000円。月次クローズ前に総務経理+担当営業へ通知、明細(経路B)と突合して原因特定。
軽減税率8%と標準税率10%の混在誤り、内税・外税表記の取り違え等を請求書OCR時に自動検出。
件数が多いため、月次まとめレポートとして総務経理に提示。
STEP 1|2〜4週
経路B(本丸)のPoC:仕入請求書PDF × クレド原価明細
直近3ヶ月分の仕入請求書(PDF/紙スキャン)を5〜10社分お預かりし、クレドの該当原価明細と突合するPoCを構築。「どのくらいズレが見つかるか」を実数値で可視化します。これが廣瀬様のご質問への直接の答えになります。
STEP 2|1〜2ヶ月
本格運用へ:マッチング辞書整備+Slack通知+月次レポート
PoCで効果が見えた前提で、過去6ヶ月分の実績からマッチング辞書を自動生成。Slack通知・月次レポート・ダッシュボードを実装し、総務経理が日常運用に組み込める形に。
STEP 3|並走
経路A(マクロ突合)の追加と、HD化対応の素地づくり
本丸の安定運用と並行して、月次マクロ突合(A)を追加し、Bを裏付けるサマリ指標として整備。HD化に伴う事業会社間突合の素地もここで作っておきます。
STEP 4|将来
月次売上表の半自動化(加茂専務の集計工程の代替)
「加茂専務が吸い上げて作成」している月次売上表を、クレド〜TKCのデータから AI が自動生成。加茂専務は「確認・経営判断」に時間を割けるように。
2-5. PoC着手にあたって、確認させてください
- クレドのデータ抽出方法:CSV出力/API/DB直接接続のいずれが現実的か。最初は
CSVで十分です。
- TKCのデータ抽出方法:TKCのバージョン(FX系/戦略システム等)と、仕訳帳・補助元帳の
CSV出力可否。会計事務所経由でのデータ依頼が現実的かも併せて確認させてください。
- 仕入請求書の保管形態:紙原本/PDF/メール添付/FAX の割合。経理に届く時点ですでにPDF化されているか、紙のまま保管か。スキャナ運用の有無。
- 主要仕入先トップ20社:請求書フォーマット学習のため、月次取引額の多い順に特定(キヤノンMJ/富士フイルムBI/コクヨ/プラス/その他)。
- PoC対象スコープ:事業部単位/取引先単位/全社一括 のどれで切るか(最小ロットは「主要仕入先5社×3ヶ月」を想定)。
セキュリティ前提:仕入請求書には取引先名・金額・口座情報等が含まれます。AI処理は Anthropic/OpenAI のエンタープライズ契約下で「学習に使われない」構成で実装します。社内サーバ+オンプレOCR構成も選択肢に入れて、PoC段階でご相談しながら決めます。
次のアクション
1. 30分のヒアリングセッション
クレド・TKCのデータ抽出方法、仕入請求書の保管実態、PoC対象範囲を一緒に決めます。
2. サンプルデータのお預かり
主要仕入先5社×直近3ヶ月分の仕入請求書(PDF or スキャン)+ クレド原価CSV + TKC仕訳CSV。匿名化不要、社内ネットワーク内で処理します。
3. PoC構築(2〜4週)
突合エンジンと結果レポートを実装。「どれだけのズレが出るか」を実数値でお見せします。
4. 経営報告+本格運用判断
PoC結果を元に投資判断。本格運用へGo の場合、STEP 2〜4 のロードマップに移行します。